BBCミュージックマガジンの付録CD、初来日の武蔵野ホールでの演奏、満を持して発売されたCD、名古屋の宗次ホールでのコンサート、どれとも違う音でした。
近年から楽器を変えたせいもあるかもですが、鳴らし方がそもそも違う感じ?
美しいボウイングと、華奢な手から展開されるとは思えない素早い精緻なフィンガリング、何よりノンヴィブラート奏法を徹底して貫きながらも、ノンヴィブとは思わせない豊かな音色。
それらは以前からの彼女とちっとも変らないのに、音が、音楽が、間違いなく深化していました!!
はぁぁ〜〜また贅沢すぎる時間が始まってしまった…と溜息。
少しエンジンがかかり切らず、ボウイングと、若干のフィンガリングの乱れはありましたが、毎回申し上げている通りそれすら愛おしいと感じられる彼女の音楽の世界に惹きこまれます。
・無伴奏パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002
なぜか毎回、自分が演奏する時より緊張して着席している私なのですが(笑)、このあたりから冷静さを取り戻し。
アリーナもエンジンがかかってきたようで、更に伸びやかに、時に軽やかに、可愛らしく穏やかな微笑みを湛えながら奏でる姿と音が胸を打ちました。
とても粗いボウイングをしているように見えないのですが、アリーナは毎回ものすごく弓毛が切れます。で、珍しい事ですが今回は切れた毛が左手にかかって、速いパッセージを捉えていた左手の演奏を遮るというアクシデントがあり、一瞬ハラッとさせられたものの、これがライヴの緊張感か、何事もなかったように曲の世界は紡ぎ続けられましたので、その緊張感がかえって聴き手の緊張感をも喚起したような心持ちになりましたよ。
円熟した演奏会を確信させるかのように、ブラボォコールが早くも飛び交いました。
・無伴奏ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003
アリーナの無伴奏のCDをiPodでほとんど毎日聴いているので、どの曲もそれぞれに好きなフレーズがあるのですが、この演奏会で聴いて、いつもより素敵だなと思ったのはこの曲でした。
今日は右耳の不調のせいもあって、いつも以上にアリーナの演奏する姿を凝視していたのですけど、元弓の使い方
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