一日置いて、今日はソロの
アリーナ(・イブラギモヴァ)・ナイト。
今日が名古屋で最後、日本公演でも最終日です。
宗次ホールは小さいホールで、規模的には日本公演初日の
キューブホールと同じくらいなので、最前列の席を取り損ねても真ん中ならよく観られるだろうし、音響も評判のよいホールだからと、期待に胸を膨らませていました。
今夜のアリーナは
煤竹色のドレス。遊び程度の控えめなドレープが入っていて秋っぽい感じ。ていうか、何色を着ても、いや何を着ても超お似合いvvv
・パルティータ第1番ロ短調BWV.1002
徹底した
ノンヴィブラート、そのストイックな
ロングトーンと、後につく
トリルのコントラストは見事としかいいようのない絶妙のバランス。
でも…あれ?ちょっと
重音にいつもの伸びがないかな…?
じっくりボゥイングを観察しても、惚れ惚れとするくらい
基本に忠実で弦に対して垂直、
手首の滑らかな返し、難しいアップボウの重音だって間違いなく職人技なのですが…
何となくAかD線の弦のどこかか、もしくは弓毛の真ん中より元寄りあたりの特にダウンボウで度々上滑りしたような音になっていました。
この一週間余り、弾き続けでさすがに疲れたのかな?
それに、名フィルとのタココンでは、1日めなんか毎楽章2、3本の弓毛が途中で切れて、ぶちぶち引きちぎってましたし(笑)、2日めも2度ほどがっつり切れてましたから…予備弓を使ってないとしたら多分中1日では毛換えもしていないでしょうし、楽器がベストコンディションではなかったのかもしれません。
これまで繰り返し、数年にわたって彼女の演奏を聴き込んできた私は、少なくともそう思いました。
・パルティータ第2番ニ短調BWV.1004
15分の休憩を挟んで、少し感覚を持ち直したのか、時折集中力を高めるような仕草をみせつつの演奏。
リニューアル前の彼女のオフィシャルサイトからのダウンロード音源、CDの演奏、何度も聴いてきた演奏とはかなり違っていました。
ただ、彼女の場合、素晴らしいのは、年数回数を経て
どう変幻しても、彼女にしか出せない、彼女だけの音に揺るぎがないところ。2005年のライブ録音から現在まで見守ってきて、それは間違いなく言える事です。
その中で今回もっとも違ったのはシャコンヌ。深長→振幅と、回を重ねるごとに縦横の深みや広がりを加えながら、今回は天を貫くような激しさと、相対して空へ昇華するような音によって、人間性を内包した肉声を聴かせてくれました。
ああ、彼女は目の前で生身の音楽を見せてくれている…と当たり前の事を神妙に実感してしまい、涙が滲んできました…。
ブラボォコールと鳴り止まない拍手で、我に返りましたけど(苦笑)
・パルティータ第3番ホ長調BWV.1006
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